終わる世界/e.mei
 

(陽のない泉に流れているあおいろの名前をした誰かさん、
 あなたは生きるという行為を何よりも嫌っていますね。
 少女はとても元気ですよ。
 せかいがなくなるまであの子はあとがきを書きますから、
 双子のいなくなった双子座の宮で眠っていてください。
 目を覚ますまでにはきっと明日をむかえていますから。)


 ひかりがない


    いつの間にか雨が忘れていった光が消えていた
    僕が首からぶらさげていたあの子の名前もなくなって
    またひとつせかいの足音がとおくなってしまった


 人形の右足は砂にさらわれて暗いところに消えてしまう
 時計台に立ったかぜが三度目のあくびをするのを待って
 時間どおりにはじめる
 約束されたせかいの結末を
 下から上へ
 喉から唇へ
 親から子へ
 あの子の終わりを決める為の合図を僕は待っている


 ちいさなあわは露の降りかかった小さな木々の中から空へと
 のぼってゆく
 僕が少女の横顔をながめると
 少女はせかいの夢をみていた
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