終わる世界/e.mei
 


「つよいかぜのうしろでうまれたちいさなあわがいます。
 あのこはけさそらへとのぼっていくゆめをみたそうです。」


 きえていくあわをとおくにみながらのぼってゆくのです


 生きているあいだにどうかこのせかいを崩して下さい
 少女は名前を喪ったあと人形の背中に凭れながら呟いた
 少女はこれから終わってしまったせかいいちめんに
 あとがきを書かなくてはならない
 僕はきっと星のかずを数えながら自分の名前を忘れてしまうまで
 此処にいるのだろう
 音のないせかいに光がひろがっていく夢を見たのだけど
 すでに存在を失った何ものかの声がきらきら光っていた



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