子どもの宝/千波 一也
 
は確かだが
 努力したのは確かだが
 その
 何度読んだかわからない
 ぼろぼろの原稿用紙を見るほどに
 子どもの
 ひたむきさの
 向かう方向が
 違っているように
 思えてならなくて



 子どもの宝、は
 なんだろう

 子どもに
 与えたいもの、は
 なんだろう

 たぶんに
 無邪気で

 精いっぱいに
 くだらないあこがれを
 走っていく

 そんな
 いつかの自分を
 思い返しながら

 会場の
 みごとな印字の横断幕を
 じっと見ていた

 じっと
 見ていた
  










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