絶望は腐らないミラクルアップルパイ/わだち彩子
 
 
見ていたいのは夕焼けとか朝焼けとか霜焼けとか日焼けとかニューヨークのマンホールガールズとか死に際のマシュマロです。

愛してるなんて恥ずかしくて言えたもんじゃないんだって笑いながら愛してる愛してる愛してる愛してる! とにかくわたしは高揚している! いうなれば、それはまったくの博愛だと思います。きみより三度の飯がすきだから。わからないまま閉じてしまったあれも答えだったし、閉じそこねたこれも答えだった。すべての不正解は正しさを知らないままきみのちっちゃな両腕がかたちづくるブラックホールへ飲み込まれていく。

「人の一生なんて偶然みたいな心臓の連続鼓動でしかないんだ」。柔らかな絶望へきみはゆるりと歩み寄る。壊れた黄色いキャロルで迎えに行くから、そこで待っててよ。いつもみたいに昨日みたいにさっきみたいに、唇同士をひっつけて舌でセックスして歯をかちかちいわせて、きみがだいすきな絶望の味を教えてよ。

戻る   Point(2)