冷めたスープ/葛西曹達
 
いつの間にか冷めたスープ
食べられなくはないけれど
温め直して飲みたくはない

いつになく不機嫌な声で
悪態をつく君の顔は
ここからじゃ見えないから
うなだれることもできない

僕はもう疲れたよ
君ももう疲れたかい?

いつの間にか冷めたスープ
色は濃くなっていくけれど
食べる気には全くならない

暇があれば取り合っていた
連絡ももうなくなって
この先は見えないから
悲観することもできない

僕はもう十分だ
君ももう十分かい?

いつの間にか冷めたスープ
量は減ってないけれど
もう食べたいと思えない

苦しさと楽しさが
同時にマヒしてしまった
喜びと悲しみは
容赦なく僕を襲う

いつの間にか冷めたスープ
食べないなら捨てればいいのに
どういうわけか捨てられない
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