夏の終わり/佐藤伊織
 
結晶が綺麗だなんて
誰にだっていえる

それで
なんで綺麗だなんて
降ってくる雪の結晶の
一粒一粒が
見えるはずもないのに


夏も終わり
日焼けした首筋だけが
やけにヒリヒリと痛み

そうしたところだけに
雪は積もって


蝉の抜け殻に雪を詰めて
ないていた記憶に耳を澄ます

サイレンが耳について離れない
汗をかきながら
満開の雪の粉が夜空を遥か
遠くに
遠くに飛ばしている





























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