がれきの下/ヒロシ
あの日
いくつもの物語が
いくつもの愛が
いくつもの夢と希望が
一瞬にして奪われた
叫びも届かぬまま
祈りも届かぬまま
真っ青な空が
真っ赤な炎と
真っ黒い煙で
汚されていった
消えるはずのないものが消え
そこに残ったのは
悲しみと
憎しみと
絶望と
叫びと
巨大ながれき
やがて生まれたのは
祈り
今もそこには
数え切れぬほどの
祈りが届けられる
がれきの下
消えていったいくつもの命が
浮かばれんことを
想いが
届かんことを
この世界が
愛と希望で
満ち溢れるように
私は目を閉じ
そっと
空へと
祈りを放つ
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