タマ、秋に出会う。/千月 話子
 
を振りながら
レモン色の車の下や 公園の赤レンガのベンチの後ろを覗き込む

半分閉じかけた目に もうすぐ光りが宿って
 頬に 赤味が増すはずだったのに・・・。


不意に飛び出してきた 枯葉色の犬に 飛び掛られた!


真上に空 真上に光る鼻 真上にピンクの舌 くすぐったい
      私の煮干し 返してよ。
遠くで声 遠くで呼んでる 遠くで赤いトンボが・・・・・
      タマ、 見つけた!!

そうして 朗らかに 私の夏は終わったのでした。/ おかえり。


      今は 枯葉色の タマ

      本当は 白い猫

      秋を捕まえて

      「ただいま。」 と鳴く。

    

戻る   Point(3)