タマ、秋に出会う。/千月 話子
を振りながら
レモン色の車の下や 公園の赤レンガのベンチの後ろを覗き込む
半分閉じかけた目に もうすぐ光りが宿って
頬に 赤味が増すはずだったのに・・・。
不意に飛び出してきた 枯葉色の犬に 飛び掛られた!
真上に空 真上に光る鼻 真上にピンクの舌 くすぐったい
私の煮干し 返してよ。
遠くで声 遠くで呼んでる 遠くで赤いトンボが・・・・・
タマ、 見つけた!!
そうして 朗らかに 私の夏は終わったのでした。/ おかえり。
今は 枯葉色の タマ
本当は 白い猫
秋を捕まえて
「ただいま。」 と鳴く。
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