ドレス/海美
 
体中に嘘という名の服を着た
何枚も何枚も重ね着してた
1つの事をするたびに
1枚ずつ増えていく

名前を聞かれて1枚増える
年を聞かれて1枚増える

実際は裸なのに
心の中では何十枚も着ている
十二単もビックリなほどに
あたしは何枚も服を着ている

キスをするたび1枚増える
抱かれるたびに1枚増える

本当の事も言えないまま
いつの日か 服の重みで
死んでしまいそう

綺麗な服が欲しかった
あたしのように薄汚れた服ではなくて
ショーウインドウに飾られるほどの
綺麗に輝く 偽りの無い服を

だけど もう 服は脱げなくなった
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