レプリカ/草野春心
ヒロシマという街に
原爆ドームという建物がある
アメリカという国には
銃口のねじまがったピストルの像がある
僕の住む部屋に
ガンダムのプラモデルが二十二体ある
手製のジオラマはランバ・ラル戦をイメージして作った
彼の乗るグフは勿論ザクとは違うが
どの道アムロには敵わなかったね
ヤニだらけのキーボードを今日も叩く
コーヒーこぼしたせいで方向キーが動かない
フォルダの中に眠る自分の言葉と
ネットワークに絡め取られた他人の言葉
僕の住む家に戦場はない
体が透き通ってしまったように
つかみどころのない夕暮れ
Tシャツが窓の外で風に揺れてる
誰か僕を天秤にかけて
誰か僕を天秤にかけて
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