「ヴィヨンの妻」太宰治/小川 葉
しかできなくなっていた、私たちにも。
「ヴィヨンの妻」は、こんなふうに締めくくられている。
・・・・・僕は今だから言うけれども、去年の暮にね、ここ(飲み屋)から五千円持って(盗んで)出たのは、さっちゃんと坊やに、あのお金で久し振りのいいお正月をさせたかったからです。人非人でないから、あんな事も仕出かすのです」
私は格別うれしくもなく、
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
と言いました。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2253_14908.html
http://www.villon.jp/
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