酔歌/ブライアン
祖父は毎日欠かさずに山へ通った。
祖父の自慢の果樹園には、桃、栗、林檎などがなった。
かつては、興味津々だった孫たちも、もうカブトムシやらには無関心だったし、
毎年届く2箱の林檎には飽き飽きしていた。
それらの林檎に、孫たちは
多すぎるよ、と反抗期にありがちな顔を見せる。
それから、自室に閉じこもるか、
友人の家に遊びに出かける。
だが、林檎の木よ、どうして祖父を賛美するのか。
おまえを切ったのは祖父なのに。祖父は残酷だ、おまえは血を流している―。
祖父の残酷な陶酔に対する賛美は何のためだ。
祖父は無免許で国道を走り続けた。
警察官もそれは知っていた。
祖父
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