門影/木立 悟
 






共に在るもの無く
原に立ち
なびいている


夜は赤
骨に収まらない肉
あおむけに 沈む


曇を燃す曇
秘め事の径を解き
川はすぎる


木漏れ降る月の
いつ終わるともしれない
水に触れる


内も外も凪ぎ
白は空に増し
静けさは静けさに病み


火を持つものが波を照らす
崖のむこうから
ひとつの明かりが見つめる


置き去りの四肢 星を待つ蒼
ある幸福な家の址から
昇る雨 昇る雨


冬を治める府の門が
いつまでもあいたままでいて
ひとつの色ばかりが吹き荒れている


路地が尽き 砂がはじまり
白紙の風が水をわたり
雨にまだらを手わたしてゆく


音の無いとどろき
原は海を見る
境は 影にそよぐ




















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