数字に埋もれる/三奈
 

濁った瞳で
君を見ていた。

損と得を天秤にかけて
−+で合計だして

得が多いのなら
その手をとろう。

損が多ければ
さよならしよう。


数字が溢れているこの世界。


人間関係まで
足し算引き算。

数字に侵食され
目が回る。

不安定な足場に
吐き気がする。


濁った瞳で
君を見ていた。

濁った瞳で
世界を見ていた。


ガラスの目を持つ君は

この世界を『キレイ』だと言う。


だけど、僕の濁った目に
うつるのは

いつだって
『くだらない世界』


濁りがとれれば君のように
空をキレイだとも
思えるだろうに。


こすってもとれない濁りに
また一つ
涙を落とした。
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