戦争を捉える方法 −奥主 榮詩集『日本はいま戦争をしている』−/大村 浩一
戦争を捉える方法
−奥主 榮詩集『日本はいま戦争をしている』−
戦争を詩の題材にすることは難しい。昨年秋の神戸の現代詩ゼミでも、瀬尾
育生が以前に佐々木幹郎から「なんで戦争詩になんか行っちゃったの」と言わ
れた、とコメントしていた。
私も難しさを感じる。体験の無いところを想像力で補おうとしても、いつの
間にか紋切り型の正義を読者に押しつけてしまう危うさがあるし、体験があっ
たらあったでツェランのようにそれを読者と共有できない危機に直面したりも
する。
先日、日本の漫画家たちが中国で戦争漫画展をやったというニュースがあっ
た。自分たちの悲劇的戦争体験を描いた部分に関し
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