道普請スカーレット/中原 那由多
 
近所のドラッグストアが潰れてしまっていた
もう一ヶ月以上前のことらしい
その間、ただモラトリアムを淡々と過ごしていた
今日あるものが明日あるとは限らないとは言うが
私には今日も明日もない


中学時代の同級生二人が
道で偶然すれ違い話をしていた
当時二人は付き合っていたらしいが今更どうでもいい
その横を通り過ぎる時、男の方は私に気付いたが
私は知らぬふりをして通り過ぎた
その二人のことはあまり好きではなかったから
眉間にしわを寄せて帰宅した


向かいの家の子供の声がよく聞こえる
笑い声も泣き声も
そこに表現されるものがたくさん詰まっていて
私は見習わなければとさえ考える


御嬢さん、そういえば伝えたいことが……


創造する人は皆脅えているんです
常軌を逸するような色に
快楽を覚えることは稀ではありません
ただそれだけを忘れないでください



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