自戒/伊那 果
私はたくさんのものに恵まれている
収入は同年代の女性の3倍
たまたま入った会社でも使えると思われている
恋愛には事欠かず
一生大切にする左手のリングも手に入れた。
そういう女の物語は
面白くもおかしくもなんともなくて
さぞかし幸せそうに見えるでしょう
で、その女は
夜中にワインをあけながら
インターネットに向かって
詩、のふりをしたぼやきを打っている
誰も答えない誰も答えない誰も答えない
このワインは、値段は忘れたけれど、安かった割りに、香り高いです。
いうほどワインがわかるわけでもないのに、一番安いワインは選ばなくなり
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