階段/yo-yo
まいにち 階段の数をかぞえる
それが 母の日課だった
増えたり減ったりするので とても疲れる
と母はぼやく
階段のある家には 住みたくないと言った
階段がなくなったら ぼくの駅がなくなってしまう
階段の途中に ぼくの駅はあった
痩せて背の高いひとが いつも手をふっている
ぼくの帰りを待っている 父の手だった
まっすぐに横に伸ばし それから斜めに下ろす
かたんと音がして 列車が通過する
階段を上り 階段を下りる
ひとつひとつに 駅の名前が付いていた
妹はいつも
階段の途中で寝そべっている
そこには きれいな花が咲いているのだという
ぼくには見えないけれど
と
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