本日は晴天なり/吉田ぐんじょう
朝寒(あささむ)や子宮の奥へしのびこみ
初秋の路上に晩夏わだかまる
塗りたての青あざやかに秋の空
コンビニで桃缶さがす風邪の人
ほおずきが臓器のようにおちている
盆過(ぼんすぎ)にまちで故人とすれちがう
心臓と同じ重さの梨くらう
サヨナラと同じ色して秋は暮れ
玉葱を刻む手を止め月を見る
皿洗う指に夜寒(よさむ)のしみてゆく
(字余り)
夜食喰うおおきくなって星を捕るため
捨て団扇にジャニーズの顔笑ってる
面接に落ちた夕暮れ桔梗咲いてて
漂鳥(ひょうちょう)を追いかけ迷い帰れぬ夕べ
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