オウタム/マッドビースト
夏に捨てられた蝶が
ひらひらと自転車の前輪に身を投げようとしている
これ以上ペダルを重くしないでおくれ と
黄色いはねをかわす
崩れそうな空
地響き
空鳴り
あれは巨大なギアーの噛みあう音
秋が雲をつれてやって来る音
次の朝 ひんやりとした道に
ばらばらの蝶のかけらが散っている悲しみ
蝶は場所を求め
雲に覆われた秋の機関部を探し当て
夏を終わらすまいとした
秋の行軍は
しかし止まるはずはない確かさ
季節を追う強い翼をもたぬ蝶の悲しみ
地響き
空鳴り
あれは巨大なギアーの噛みあう音
夏に捨てられた僕に
秋の来る悲しみ
季節を越えるからだあるものの悲しみ
戻る 編 削 Point(4)