歪みと腕/木立 悟
光のなかのかたち
花の前の小さな声
小さな姿
ほどけてゆく線のあつまり
光を知るもののまわりには
小さな光の歪みがいて
小さな手を差しのべている
手に手をたずさえ
受け取れば
それは歪みのまま
歪みではなくなる
熱さも
冷たさも
憎しみも
あまりにも
あまりにも小さい
一瞬の輪
一瞬の亀裂
風のようにまわる
青と白と青
手のひらのなかの
小さな歪みを染め
小さな滴を揺らす
光を知るものが目を閉じるとき
何も知らない片目がひらき
無慈悲さを抱えた夜の腕に
たくさんの光の歪みをも抱えて
粗れた水の地を歩いてゆく
自身の言葉が届く先を
たしかめもせず歩いてゆく
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