慟哭/中原 那由多
退屈そうな視線と頬杖
残暑は緩やかな日々に降り注ぐ
片時も放さないでいたい願望
眠気を忘れて胸が痛くなる
もっと夢中になるために
知らない声を集めよう
迷いの森の中
ずっと深く入っていく
ここを抜ければきっと
純白に似た香りと抱き合える
私は未だ暗い道の途中
気品に溢れた果実
冷たく白い手
不協和音の旋律
思い描いた物語
見落としていた共感
宛先のない手紙
音なく芽生えてしまった
見捨てられたはずの瞳に映る
月明かりの微笑み
安易な欲望を飛び越える
倒錯した感受性
落葉樹に寄り掛かるくらいの苦悩
もう、奪い取ってしまいたい
戻る 編 削 Point(4)