私がふたごだったとき/未有花
な幼い夢がいつまでも続くと信じていた
世界は私たちを裏切ることなく
少女のままずっと一緒にいられると思ってた
大人になる日が来るなんて
恋をする日が来るなんて永遠に来ないと信じていた
だけど大人になって恋を知ると
私たちはふたごでいられなくなってしまった
やがて森は消えてなくなり
季節に四季があることを初めて知った
空想だけで生きていけるわけもなく
少女の幻想はあっけなく壊されてしまった
私がふたごだったとき
それはきらめく光にあふれた記憶
愛しくも愚かなやさしい時間
物語の続きだけは森の中に隠されて
いつしか母となり新たな命を宿したとき
きっとひそやかな夢の息吹を感じることだろう
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