私がふたごだったとき/未有花
私がふたごだったとき
ずっと森で暮らしてた
ふたりおそろいの服を着て
毎晩同じベッドで夢を貪りあった
ふたり一緒にいること
それが当たり前の世界だった
私がふたごだったとき
世界はひとつきりしかなかった
庭にはいつも同じ花が咲き
季節は春と夏しか知らなかった
変わらない風景と代わり映えのしない日常
狭い箱庭の中の世界がすべてだった
私がふたごだったとき
空想することが生きている証だった
ふたり裸足で森を駆けめぐり
森のあちこちに物語を埋めて歩いた
いつか思い出したときにまた読むために
埋めたところには必ず目印をつけた
私がふたごだったとき
こんな幼
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