エロティック/ホロウ・シカエルボク
 
シ、あいつの小便が渇くまでに時間なんかそんなに要らない、判っているものは見届ける価値などない、どこかの隙間から潜り込んだアシナガバチをジェイ・マキナニーのハードカバーで叩き落としたとき、狂った夏は俺の中枢にそれの分解を命じた


細いドライバーで俺はそれを分解した、羽をむしり、針をもぎ、体液がデスクに小さな溜まりを作った、そいつのどこかしら淫猥な丸い腹がぴくりと震えてそれきり動かなくなったとき、死あるものの理由を知った、生命というのはそれだけでどうしようもなくエロティックなものなのだ、暑い、ちくしょう…




ドライバーの先端を見つめた、アシナガバチがそこに残したわずかな組織が










垂れるように
泣いていただけだった



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