長い休み/殿岡秀秋
 
朝起きて具合が悪いといったら
「休みなさい」
と母がいう
ぼくよりいつも遅く出かける父は
今日は会社に行ってすでにいない

うまくいった
とぼくはおもった
普段なら熱をはかられて
「平熱だ
学校に行きなさい」
と父にいわれるところだ

毎朝
小学校を休む理由を探していた
朝だけ体温が高くなってほしいと願ったが
風邪でも引かないかぎり
熱を出すことはなかった

その日は部屋で
何時間も空想の戦争ごっこをした
実際はどこも悪くないので
明日は行かなくてはならないだろう
「ぐあいはどう」
夕食のあとで母が尋ねる
「まだなんとなく熱っぽい」
といって自分
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