四行詩四態 <5>/nonya
 

「百」


百のざわめきを虫取り網で追い回して

百のつぶやきに釣り糸を垂らして

百のウソと百のホントを掻き分けて

たったひとつの詩の言葉を探し求める




「鬼」


君の笑顔の裏地に巣食った

哀しみの形をした暗闇

僕の溜息の行間に潜んだ

人ではない形をした憎しみ




「夜」


あやふやになった輪郭から

うっかり流れ出した意識が

3ブロック先の袋小路で

ぼんやり月を見上げている




「行」


たとえどんなに居たくても

たとえどんなに痛くても

行かなければ変われない

行かなければ帰れない



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