アポカテラロ 4/1/人 さわこ
も遠い遠い奇跡に、私たちは怯えていただけだ。何もかもが間違いで、そうだ、私が切り開いた未来に肝心の私がいないじゃないか。午前2時、聞こえるはずもないアナウンスを終わらせ、擦り切れた毛布を頭からかぶり、目が覚めるのを祈った。
覚えている。少年の私はこの川をまたぎ、この公園で私を待っている。向こう岸には握りこぶしの花が見える。誰にも知られなかった場所を、私は見つけた。草を掻き分けて坂を上れば、きっと泣けるだろう。からからになった喉をほったらかしに、何をしていただろう。大人の声が怖かった。首飾りのつくりかた。ポテトチップスの袋。それを見守るような顔をして。
ああ、よかった。大丈夫だ。ちゃんと流れている、しっかりと伝わっている。忘れたくなかったんだよ。本当に本当に、好きだった。
枝を折り、土を掘り返す。変わらずに在ったことを思いながら。
砂を払うと、人魚の美しい缶詰が、私は好きだった。手袋が片方だけ、私は好きだった。写真、私は好きだった。ジーンズの針、私は好きだった。
なあ、大人たち。私は今日が好きだ。
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