アポカテラロ 4/1/人 さわこ
注意深く見ていると、その姉妹は医者と口論をしている。
自分たちが何のために生きているのか、なぜ生まれてきたのか。赤レンガのその小屋は、私の記憶を巻き戻し、砂嵐の映像の中にふと懐かしい姿が映る。聞こえたのは母の声だった。私が生まれた日、私があなたに選ばれた日。12月の風、話し声、脳に響く涙、光。広いとは思えなかった空が、生きるように広い。40年。窮屈だった鉢植えの中で、私は大人になった。
「必ず出会えます」
切符を買った。たった今ここに舞い降りたあなたを、認識できたから。
叔母の家へ行こう。真白な心に釘を打とう。会いたい人は居た。何をすればいいかも、ずっと知っていた。ただあまりにも遠
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