台風一家/カナシミルク
よ さい せい さん せよ
風の花に埋もれて葬られたいのはわたしだけだろうか
吸いこむ空気の清浄を望むひとよ
地上で迷い込んだ短い路地の突き当たりに鳥篭が一つ
家の灯りは温かく平らな箱の上に
ロング スウィート ホーム 三語だけの嗚咽を照らす
風が連れて行ったのは鳥篭の中の鳥とからたちの苗木
おじいちゃんの自転車のかご 母を迎えにいった弟
と僕のサッカーボール 五つだけ あぁ
蒼さよ 循環の一切を止めて歩かせて欲しい
何度も生まれる私の家族を見届けるだけの歩みを
私のかわいい孤独よ
切り離された台風の欠片を捕まえて愛し合おう
明日が明日だけで終わってしまうように
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