台風一家/カナシミルク
―台風が通りを真っ直ぐに染め上げる
今日起こったことはもう昨日に飛ばされて今日じゃなかったみたい
すこしずつ記憶が混濁し始める
それぞれのわたし いくつかのわたしの死
分裂して ひとの中に入ったわたしが膨らんで分裂して
分裂して 飛ばされてわたしの中のわたしを求めて
分裂して さまよっているわたしたちの死
風がわたしたちの亡霊を集めて遠くの空へ運ぶ
引き連れられたわたしたちの微笑みがすこし自由にカタンと音をたてる
そのとたんに崩れる背景の白さ!
落ちていく影を覗いていたやつ等は
私の子供のような顔をしていた
さい せい さん せよ
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