一人語り/山中 烏流
いことを
誰かが知っていてはいけないんだよ
昨日、父親の夢を見た
離れる直前の
痩せこけた父親じゃなくてさ
もっと昔の
もっと、家族だった時代ので
なんてことないんだよ
みんなでよく行った
ステーキ屋の前で
笑い合ってるだけなんだ
それだけの夢だったんだ
でも、
楽しかった
この際ニートにでもなりたい
多分だけれど
気付けば雪が降っていたり
木枯らしが吹いていたりするんだろうな
今は病気とか言わないし
変な話さ、
色々なものを諦めてきてしまったけど
大して後悔もしてないんだ
もしかしたら
最初からあまり
乗り気じゃなかったのかもしれない
多分ね
ほら
そう言ってさ、
自分を納得させるのだけは
昔から得意だったんだよ
嘘を吐くのもそんな感じで
この独り言だってさ
結局は
自分に言い聞かせるため、の言葉なんだ
全部、さ
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