集中豪雨/ホロウ・シカエルボク
 


連弾のような雨を
見上げてお前は呟いた
それがどんな言葉であるか
俺は確かめはしなかった
散々な思いのあと
不意に開いた排水溝に
吸い込まれてしまうような気分
はぐれてしまうことはとうに
とうに、わかっていたのだ

光学的なデザインのビルが
雨粒に虹の色をつける
まるでおしつけがましいメルヘン
べつに綺麗な心なんて
大事に抱えていたいわけじゃないさ
嵐の季節を
豪雨の真夜中を
懸命にくぐるだけなんだ
目を閉じたのはなにも見るまいという気持ちかい

それとも
なにかひとつだけを
見ようとしたのかい


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