鋸でぎこぎこ切っているのだ/人 さわこ
 
当たらないのです。それ以外の方法を知らないから、私の為に証明してください。しっかりと大地を踏みしめるには、足が二本では足りないのです。焦げた足の裏を悲しいとは思わない、昔の約束を守れる人はいない。死をもって償える罪はない。立ち止まらずに歩くという不可能を、咎める馬鹿は居ない。宝の地図を目の前に、居眠りをするシナリオはつまらない。誰かが背を押す。歩くことが出来ない。ただ見ていただけの素晴らしい絵を私は今も鮮明に描いている。言葉が言葉を持ち、脳を超え山を越え今生きている存在を蔑ろにしてしまう。冷蔵庫の余りもの。例えば長い間木を育て、それに満足した男が山を降りるとき。男の目の前を巨大な濁流が襲う。男は飲
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