黄昏のラグタイム/……とある蛙
 
軽快なピアノの音にのって
人の優しさが風に舞う
海辺の部屋は明るい光と
鼻をくすぐる潮の匂い
遠く望める水平線に
白いヨットといかついコンテナ
そのまま外海に流れるのか
二艘とも海の彼方に流れている。

日は傾き始め
長い陰が浜辺を覆い
昼間の歓声が消え入りそうな
そんな浜辺に流れ出す
耳をくすぐるラグタイム
遥か望める水平線に
溶けてしまった太陽が
オレンジ色の血を流す。

そのまま暗くなった宵
音は闇に吸い込まれ
景色も闇に吸い込まれ
そして消えゆくラグタイム

そして
消えゆくラグタイム


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