夏の残り/
茉莉香
日が傾いてもまだ 蝉はしゃらしゃらと音を立て
光が体を包み込むと 心から影が染み出してゆく
夏が終わるねと
手をとり母子は歩いてゆく
私は一人 日傘を閉じて
空気を体に取り込んで
今日の終わりを感じながら
目を閉じ空に手を広げるの
夜風は必ず心をざわめかせ
静かな時間の訪れを予感させる
暖かい光の感触は
少しずつ 消えていくけれど
芽生えた小さな心のうずきは
これからも 私の中に 在る
戻る
編
削
Point
(1)