羽骸〜it's of good behavior〜/伊月りさ
 
どこへ飛んでもいいんだよ、という
やさしい解放に
抑えつけられている

  この羽を燃やす人がいる
  大気圏への怖気を見抜いて
  好機とばかりに灰にする
  灰になるまで
  後ろめたいので祈ったりする

今日もたくさんの虚構が
虚構なりに生まれては死んで
きみがそんなことをしなくても
生きていくことの難しさなら
もう、だれもが知っているのに

満員の滑走路
助走ができず
仰ぐ空は広く明るい

  今のわたしにできること
  その一、羽の枚数を増やす
  その二、少ない羽で飛ぶ訓練をする
  その三、体をなるべく軽くする

轟音で抜けていくボーイングの窓から
クロスワードを解く面持ちで
たぶん、その人はわらっていて
吸殻をはじいて
羽が燃えて

日々は
そういうニュースで溢れている
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