秋の十一句/アハウ
 
影長く夕暮れても一人の街


書物に忠誠尽くせば背が伸びる


孤高なる生はち切れて射す秋陽


単独行もの言わぬ行なり詩文よ


言葉の海に網打って意味を捕る


金色のまつ毛またたいて世界を試す


雷消えた秋に無害の雲ゆく


蝉の声 染みた耳朶に秋風の通う


ビルの間から見るいやに牧歌的な雲


空 仰げる人は決して狂気に落ちぬ

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