鼓動/リタ。
いつもと変わらない朝
当たり障りのない会話が
日常を往来している
彩りよく、順序よく、体裁よく
まるで雨上がりに見える虹のように
実体のない会話が
街を覆っていた
ぼくは唇の上に
七色の愛想をうっすら浮かべて
今日の社交辞令を交わしてる
これが光なら
色褪せた
これが命なら
持て余した
それでもぼくの心臓は
鼓動を打ち続ける
ぼくは何のために
声が出てるのかな
耳は聞こえるのかな
何のために
生まれてきたのかな
こんな疑問を抱くことが
疑問なんだけどね
答えを出してあげないと
ぼくの心臓が
かわいそうだ
あの子の指が
宙を描く
うそのつけない犬のしっぽのように
クルクル踊ってる
彼女の方が、健常者
ここから心を響かせよう
口笛ふいて
聞きたい言葉を探せばいい
タンバリン叩いて
話したい言葉を創ればいい
鼓動に乗せて
自分を響かせよう
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