触れる壁だけが/
番田
誰の声もないままに
歩いていくと
どこまでも続いていくみたいに
寂しい限りだ
そんなものをふせこんでいる
近くには蛙がいて
向こうには谷があった
誰に会えるだろうと
近くには海が
遠くには山があり
ぼんやり見ていた
鳥のさえずりがしていた
車が走っていて
ただ誰に会うこともなく
考えながら
なにもすることもなかった
ベッドに入り
ポケットには
一輪の花が
声も出さずに
見ていた
遠くに
月が昇っているのが見えた
遠くに
夕日を沈む
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