シトシンの雨を。/ジャイコ
 
ぬめりを帯びたきみの声は、
彼女の黒髪に吸い込まれてしまい。
ぐるぐると絡め取られた手足の先に求めた意味を、
きみは簡単に剥がしては食べてしまいます。

彼女の記憶のなくした部分には緑色のわたしは存在していないので、
私はすぐにかなしくなって空に還ることだけを考えてしまうのだけれど、
不自然に伸びた彼女の指先がきみの心臓を撫で擦っていることが、
わたしには不快で仕方がありません。

きみは今日も夢を見てる?

繋がったコードはマイナスの電気しか通さないので、
わたしの手紙はきみに届かずに彼女のうちに届いてしまいます。
そしてきみは今日もみどりいろになれない自分を呪いながら、
後戻りできない塩基配列を並べ替えようとしているのでしょう。

ごちそうさまでした。
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