◆夏占い/千波 一也
 




日没を追い越したくて海岸線
灯台よ、まだ闇を告げるな




たき火して語り合う手の缶ビール
温んでいくのはだれのしわざか


まっさきに真っ赤に落ちてしまうのも
わるくはないよね、線香花火




夕立はあとくされない涙です
ずぶ濡れたなら
笑うしかない


あじさいのどこをひとつ、と数えよう
ちいさな花弁か
その集まりか




なく蝉がぴたりと止めば寂しくて
つい空をみる
今日も夏かと


まぼろしのほたるはどこに今どこに
記憶がすみかと
ならないように




星たちをそっと崩して波の上
面影じみた言葉がゆれる







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