こわいこわい/
練
信号があるから信号と言った
月が出ていたから月と呟いた
手をとれば手があると知れる
何が分かるわけでもない
たよりない
こわいこわい
話すべきひとつの何かを願う
願いは願ったとたんにほどける
木が揺れていると言えばいい
それはきっと風のせいだとも
あるものはあるのだと言って
それから目を閉じるのもいい
いつまでも話し始めないまま
たくさんのことを話しすぎる
こわいこわい
どこまでも道
あのあたりは空
ほら
手がここに
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