アメリカ殺しの歌/花形新次
 
進駐軍の通訳のような連中が幅を利かせている
俺たちを蔑みながら
いつも背伸びして奴らの目の中を覗き込み
ご機嫌を損ねないように細心の注意を払っている
それがいい生活ってのにありつく術なんだ

こいつらは俺たちだ
俺たち自身だ
この世から死滅させるべき存在だ

今すぐに
俺の皮膚の下に食い込んだアメリカの破片を投げ捨てろ
おまえの脳髄に突き刺さったアメリカの残骸を
ひとつ残らず摘まみ出して
すべて燃やしてしまうのだ

青と赤と白の三色の炎が立ち昇り
俺の中のアメリカ
おまえの中のアメリカが完全に消え去ったとき

俺たちには
言葉らしきものが残るだろう
歴史らしきものが残るだろう
生活らしきものが残るだろう

しかしそれは虫食いだらけの朽ちかけた大樹
無限に広がった空隙のひとつひとつを埋めるには
残された時間は余りにも少ない

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