四行詩四態 <3>/nonya
 

「始」


新たな枝の方へ折目正しく曲ろう

幼い葉っぱにいちいち名前をつけよう

選んできたのはいつも自分だから

勇気を転がしながら歩き始めよう




「発」


文字で声で眼差しで歩幅で背中で

思わず発してしまった自分の欠片の

ほろ苦い残骸を拾い集めながら

それでも性懲りもなくまた発してしまう




「終」


部屋を出る時はドアを正しく閉めよう

ベトついた指紋はきれいに拭い去ろう

選んできたのはいつも自分だから

元気を空回りさせながら終わり続けよう




「点」


ほつれた焦点に絡みつく欠点

くたびれた沸点に縋りつく作用点

頂点から滴り落ちた視点が点々と

接点をまたいで分岐点を目指す



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