蜃気楼/ミツバチ
 
真夏の道
揺れる蜃気楼の向こうに
君が見えた気がして
通り雨

子供達の笑い声が
吸い込まれた雲
秋の気配を
忍ばせた空気に
形を変えて流れてゆく
夕暮れ

空の色が紫に変わる頃
何処かで打ち上がる
花火
心地よい風に変わる

僕は君の笑顔が思い出せない
あんなに一緒に居たのに
ほどけていく会話
滑り落ちる思い出
君はさようならも言わずに
気がつけば一人で

蝉が泣き止んだ午後
一瞬の静けさの中
記憶の片隅に立ち竦んだ
僕が居た
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