世界に馴染めない私は/遊佐
風にはなれず
太陽にもなれず
ましてや空になんかはなれもしませんが
雲にならなれる気がするのです
空はいつも其処に在り、
いつも同じ顔をしており、
私が泣けば雨となり
私が笑えば晴れとなり、
私の心が定まらない時は曇ってしまうのです
だから私は
陽射しを遮る雲であり
雨と雪をもたらす雲であり
翳りを抱いて空埋め尽くす雲であると思うのです
(世界はいつも晴れ間の下に在り、雨の日と雪の日と曇り空の日は、私の心だけが雲の傘をさし、空を塞いでいるのです)
私は雲、空の傘
空に生き、空に消えて行く
一塊の雲。
P.S.世界はいつも晴れている。
戻る 編 削 Point(8)