あの頃/フクスケ
 
時折
ある曲のフレーズを
思い出したように
聞きたくなる

煙の臭いと立て看板の
どれも同じような
スローガンが
かなしく
風になびいていた
安保の季節の終わりの頃
時代という過去に
なり切れない
記憶
あの頃の
空気の匂いが
あるフレーズの
言葉の隙間に
澱んでいる
まるで本のページを
めくるように
数え切れない瞬間が
重なり合い
滲んでは消えた

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