ディパーテッド/海 猫
 
ハゲた頭を見下ろす。
ハゲた頭から、何故ハゲたのかとハゲた頭の人の人生を勝手に妄想した。
ひとしきり楽しんだあと自分も、いつか見下ろされる日が来るのかと思うと、自分の頭に触れられずにはいられなかった。そして、心にだけ聞こえるように言った。
『ごめん』
僕が想像した以上に時間は早く過ぎるもので、昔はスラリとしたイケメンだったのにとか、何度も同じ事を思いだし、そのたびに過去に傷つけられる僕。
まぁ、なんとかなるやろとか考えてたら、なんともならずに腐り始めるから人生おもしろい。
僕の出した結論は、ハゲても『カッコいいハゲ』になること。
また、繰り返しかと嘆いていると、ふと閃いた。そうだ、床屋になろう。美しいハゲを生み出す床屋に。客は、ハゲたけど仕方ないとそのままにしてるダイヤモンドの原石みたいな男と、邪魔だからと年中ボウズの漢と書いて男のヤツ。
ね。新しいでしょ。
ハロー。いつもと違う僕ハロー。未知の世界。
明日もがんばるわ。
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