8月の殺人事件/ゆりあ
「ねーvirgin suicidesのどこが好きなの」
「virgin suicidesって名前」
「なまえぇ?へー。じゃあ誰が一番好き」
「次女」
こんな風にお互いが好きな外国の映画について会話することはもう無い
あたしはあの日終電前に帰されたことを思い出す
今年は花火行かなかったな
今日は誰とも会いたくなかったから
何にも見たくなかったから
自分が信じられなかったから
予備校を休んで
他愛の無い映画をいい加減に観て
ベッドで眠った
映画の中の少年少女たちのように私も今日死んでしまおうかなと思いながら
とても優しい、穏やかな気持ちでまど
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